【上野公園の南側を歩こう】江戸・幕末・明治を感じる歴史観光スポット

日本で最も歴史ある都市公園の一つ「上野公園」(正式名称:上野恩賜公園)の見どころを巡ります。
今回は第2弾、公園の南側エリアのご紹介です。

上野大仏 ~ これ以上落ちない合格大仏 ~

上野公園
東叡山寛永寺
上野大仏

江戸時代は東叡山 寛永寺の境内だった上野公園には当時の記憶が残されていますが、上野大仏もその一つです。

往年の上野大仏
往年の上野大仏 出典:Wikipedia

上野公園内の大仏山と呼ばれる高台に、かつて高さ6mの大仏が鎮座していましたが、関東大震災で顔が落ち、胴体は第二次世界大戦時に供出されてしまいました。

上野公園
上野大仏

現在は顔だけが残されましたが「これ以上落ちない合格大仏」として受験生の信仰を集めています。

上野公園
上野大仏
上野パゴダ

かつて大仏があった場所には昭和42年に「パゴダ(ミャンマー様式の仏塔)」が建立され、本尊として旧薬師堂本尊の薬師三尊像が祀られています。

上野公園
上野大仏
上野パコダ

上野大仏(パゴダ)の開門時間は午後4時までなのでお気をつけください。

時の鐘 ~ 日本の音風景100選 ~

寛永寺 時の鐘

上野大仏がある高台(大仏山)から見える寛永寺の「時の鐘」は、寛文6年(1666年)に設置されました。現在見られる鐘は天明7年(1787年)に鋳造されたものです。
今でも1日3階(午前6時、正午、午後6時)に鳴らされており、その音は「日本の音風景100選」にも選ばれています。

五條天神社 ~ 病気平癒のパワースポット ~

五條天神社
五條天神社の鳥居

医薬祖神として知られる大己貴命と少彦名命を主祭神とし、病気平癒・無病健康に御利益があるとされるパワースポットです!

五條天神社
五條天神社

社伝によると日本武尊(ヤマトタケル)が東征の際に薬祖神二柱をお祀りしたことが始まりという。1900年以上の歴史をもつ古社ということになります

花園稲荷神社 ~ 上野戦争の激戦地 ~

花園稲荷神社の鳥居

上野公園内に鎮座する稲荷神社で、「倉稲魂命(うがのみたまのみこと)」を祀っています。
五條天神社に併設されており、参道も共用のようです。

花園稲荷神社の鳥居

伏見稲荷ほどではありませが、外国人に大人気の赤鳥居が立ち並ぶフォトスポットです。

花園稲荷神社の社殿

縁結びや恋愛成就で知られ、若い女性の参拝者が多い神社です。

花園稲荷神社の鳥居

上野戦争の激戦で知られる穴稲荷門の戦いの舞台でもあります。

正岡子規記念球場 ~ 野球の聖地 ~

正岡子規記念球場

明治の俳人・歌人として知られる正岡子規は、日本に紹介されて間もない野球の愛好家でした。

正岡子規記念球場

随筆「筆まかせ」には上野公園の空地で試合を行ったと記されており、子規のポジションは捕手だったそうです。

正岡子規の肖像
正岡子規の肖像
出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」 (https://www.ndl.go.jp/portrait/)

子規の雅号のひとつに、幼名の「升(のぼる)」にちなみ「野球(の・ぼーる)」という号があります。
また、「打者」「走者」「直球」など現在でも使われる訳語を創り出しました。

野球を題材とした俳句や短歌・小説・随筆を発表して野球の普及に多大な貢献をした子規は、平成14年(2002年)に野球殿堂入りを果たしました。

正岡子規記念球場

バックネット裏には句碑が建てられ、「春風やまりを投げたき草の原」の句が刻まれています。

天海僧正毛髪塔 ~ 寛永寺の開祖 天海僧正を偲ぶ ~

天海僧正毛髪塔(都指定旧跡)

上野公園中央部には、寛永寺を創建した天海僧正の毛髪を納めた宝塔(都指定旧跡)がひっそりと建っています。

天海僧正毛髪塔(都指定旧跡)

天海僧正は天台宗の僧侶で、徳川家康の側近として仕えました。
二代将軍 秀忠・三代将軍 家光の帰依も受けて、なんと108歳まで生きたと言われています。

天海僧正毛髪塔(都指定旧跡)

天海僧正は家康を東照大権現として神格化することに尽力し、日本全国に東照宮を広めました。
それにより、江戸幕府の正当性や安定性を生み、その後200年以上続く泰平の世の礎を築いた功労者と言えるでしょう。

寛永寺 清水観音堂 ~ 東京にもあった‟清水の舞台” ~

寛永寺 清水観音堂
2023.9.10撮影

寛永8(1631)年に東叡山寛永寺の開山、天海僧正によって建立されました。
昭和21年には重要文化財に指定されています。

寛永寺 清水観音堂
2023.9.10撮影

比叡山延暦寺が京都御所の鬼門(北東)を守るという思想にならい、天海僧正は東叡山寛永寺が江戸城の鬼門を守るという思想を導入しました。
その思想の一環として、京都の清水寺に見立てたお堂として清水観音堂が建立されたのです。

寛永寺 清水観音堂
2023.9.10撮影

清水の舞台を模して建てられた清水観音堂の舞台は2025年6月現在は改修工事中です。
画像は工事前に撮影したものです。

名所江戸百景 上野清水堂不忍ノ池
広重『名所江戸百景』より寛永寺清水観音堂が描かれた「上野清水堂不忍ノ池」
出典:歌川広重(1797, Public domain, via Wikimedia Commons
寛永寺 清水観音堂から見た月の松

歌川広重が描いた名所江戸百景・上野清水堂不忍ノ池に登場する「月の松」
初代「月の松」は明治時代の台風で失われましたが、2012年に復元されました。

寛永寺 不忍池辯天堂 ~ 琵琶湖・竹生島を模して造った弁天島 ~

不忍池辯天堂

上野台地から不忍池方面へ降りていきます。

不忍池 紫陽花

この日はアジサイが綺麗に咲いていました。

寛永寺不忍池辯天堂

不忍池辯天堂も、天海僧正が不忍池を琵琶湖に見立て、弁天島(中之島)を竹生島に見立て、そこに建立したお堂です。
御本尊の八臂大辯才天(はっぴだいべんざいてん)も、竹生島の宝厳寺から勧請したものです。
徹底的に江戸を京都に見立てているんですね。

不忍池と鑑真像

不忍池は一面に蓮が生い茂る「蓮池」、ボートを漕いで楽しめる「ボート池」、上野動物園の中にあるカワウが繁殖している「鵜の池」の3つがあります。

ボート池の向こう側に辯天堂と東京スカイツリーが見える景観は上野公園ならではですね。

日中国交正常化50周年となる令和4年に不忍池のほとりに建てられた鑑真像は、著名な彫刻家 呉為山氏によって制作・東京都に寄贈されました。

歴史の教科書にも登場する鑑真は聖武天皇の招きで来日し、日本の律宗の開祖として活躍しました。
鑑真が建立した奈良の唐招提寺(世界遺産)にある坐像(国宝)は通常非公開なので、立像を東京で見れるのはありがたいですね。

彰義隊しょうぎたいの墓 ~ 上野戦争の悲しい記憶 ~

上野公園
彰義隊奮戦の図

慶応4年5月15日、徳川慶喜の側近を中心として結成された彰義隊ら旧幕府軍と、薩長を中心とする新政府軍の間で上野戦争が勃発。

上野公園
彰義隊の墓

敗れた旧幕府軍の遺体は見せしめのために放置されましたが、円通寺の住職らがこの地で火葬し、円通寺に合葬されました。
生き残った元彰義隊の小川興郷らが新政府の許可を得て、激戦地であったこの地に墓を建立しました。
墓碑に刻まれた「戦死之墓」の文字は旧幕臣 山岡鉄舟の揮毫です。

西郷隆盛像 ~ 日本一有名な銅像 ~

上野公園 西郷隆盛像

日本で最も有名な銅像と言っても過言ではない「上野の西郷さん」
彫刻界の巨匠、高村光雲の代表作です。
維新三傑の一人である西郷隆盛の功績を讃え、明治31年に建てられました。

上野公園 西郷隆盛像
座右の銘 敬天愛人

座右の銘である「敬天愛人」(天を敬い、人を愛する)は西郷の生き方や信念を象徴しています。

国民栄誉賞受賞者の手形の碑

国民栄誉賞は昭和52年(1977年)に創設され、これまでに27人と1団体が受賞しています。
その中の15人の碑が上野公園南側入口付近に設置されています。

王貞治
山下泰裕
美空ひばり

【碑が設置されている受賞者】
王貞治、古賀政男、長谷川一夫、植村直己、山下泰裕、衣笠祥雄、美空ひばり、千代の富士貢、藤山一郎、長谷川町子、服部良一、渥美清、吉田正、黒沢明、高橋尚子

【碑が設置されていない受賞者】
遠藤実、森光子、森繁久彌、なでしこジャパン、吉田沙保里、大鵬幸喜、長嶋茂雄、松井秀喜、伊調馨、羽生善治、井山裕太、羽生結弦、国枝慎吾

21世紀になってから受賞された方々は、残念ながら碑が無いようです。

JR上野駅 不忍口

アメヤ横丁

アメヤ横丁は上野駅-御徒町駅間の高架橋西側と高架下の約500メートルを中心に、約400店舗を有する商店街。通称「アメ横」として全国的に有名。
戦後の闇市がルーツで、飴を売る店(飴屋横丁)や米軍物資を売る店(アメリカ横丁)が多かったことが名前の由来と言われています。

JR上野駅 あゝ上野駅

「あゝ上野駅」は昭和39年(1964年)5月に発表された曲で、集団就職で上京した若者たちの心情に寄り添う応援歌として団塊世代を中心に多くの共感を得て累計売上100万枚を超える大ヒットとなりました。
作詞:関口義明 作曲:荒井栄一 歌唱:井沢八郎

JR上野駅

JR上野駅は明治16年(1883年)に開業した「東京の北の玄関口」です。
エキタグ(デジタルスタンプ)にはパンダが描かれていますが、返還後のデザインはどうなるのでしょうか。。

今回は上野公園の南側を巡ってみました。
上野公園の敷地は広大で見どころも多すぎるので、北側の見どころは関連記事にまとめてあります。
そちらも是非ご覧ください。

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